リュウさんの春麗ちゃんに対する脳内妄想3
このごろ集中力がない。なぜだ?
ここは俗世とは隔絶された修行にはもってこいの場所。世間の雑音など入ってくるはずもないというのに。
あの娘が来てからだ。
ICPOの刑事だという、女格闘家。俺がシャドルー総裁ベガに狙われていると言いにきたのが最初だった。彼女はベガに父親をさらわれたと言っていたな。
今まで女と戦ったことのなかった俺にとって、戦いにおいて迷いなどなかった。
なのに、今はどうだ? 女と戦えるのか? 本気で殴れるのか?
戦いに情けは無用。ならば女であることに関係などあるはずもない。
あの娘も、男の世界に女が参入することがどういうことか、わかっているはず。
だが、どうだ!?
あの切れ長の目。血色の良い唇・・・女性の顔面を躊躇せずに殴れるのか?
あの大きく張り出した胸を、サガットのようにためらわず昇竜拳を打てるのか?
・・・絶対無理だ。
今まで拳をふるうことに迷いなどなかったはずなのに。
師匠ならどうするだろう。
師匠の若かりし時代には、女格闘家などいなかったはずだ。男の世界に女が参入するなど想定外のこと。
ケンならどうする?
あいつなら楽しんで拳を交わすだろう。ただ、女の顔面を本気で殴るような奴ではないことは確かだ。
なのに、俺はなぜ迷う?なぜ楽しめない?
こんなに思いは、あの娘に会うまでは一度もなかった。
そういえば、過去に女子高生が俺の技を真似て戦いを挑んできたことがあった。
あのときは、躊躇も迷いもなかった。
相手が女子高生であろうが、戦うことに問題などなかったというのに。
女子高生を女としてみていなかったからなのだろうか?
もしや、「あの娘」だからなのか・・・???
俺の迷いは拳にあるのではなく、「あの娘」に対しての迷いなのか???
この思いは、もしかして・・・・・・!!!???
・・・厄介なことになった。
このままあの娘に会わずに済めば、俺の心のさざ波は、やがて凪に変わるだろう。
そう思っていた。
本当は彼女が微笑んでくれるたび、自分の無力さに弱さを突き付けられていた。それを認めたくなくて、俺はあの娘との距離を保ってきた。俺はあの娘から逃げていた。
しかし、先日あの娘から握手を求められたんだ。シャドルー壊滅作戦でともに戦う同志としてな。
不思議だった。彼女と握手したときに、奇妙な感覚があったんだ。俺と対極の存在を見つけたっていう、発見。
そう、発見だ。見つけた!!という感覚。
今まで探し求めていたものをやっと見つけた!!そう魂が叫んでいた。
何というか、俺にないものをあの娘が持っている。それを素直に認めて受け取りたいと思うと、ふっと身体が楽になった。肩の力が抜けたように。
すると、今まで迷っていたのが不思議なくらい吹っ切れたんだ。
そして今度はあの娘にないものを俺が持っていて、与えたくなった。
次は楽しんで拳を交し合えるような気がする。それに・・・。
今なら、ベガに勝てそうな気がするんだ。そして彼女を守ってやれそうな気がする。
自分のための力ではなく、誰かを守るための力を解き放つときがきた。
あの娘を、俺の手で。・・・春麗を守れるのは、俺だけなんだと。
リュウさん!迷わず春麗ちゃんに突っ走れ~~ぃ!!....φ(・ω・` )
☆表は気楽に書かせてもらっています。
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