リュウと春麗の萌え日記   (そま)

リュウと春麗の萌え日記

連載小説 その2

連載小説 その1    

 

     連載短編小説

 

 

     春麗の女子会

 

~SFⅣエンディングからSFⅤゼネラルストーリーへ~

     

            2

 

 殺意の波動による超人的な破壊能力をベガもセスも狙っているのはまちがいない。ケンの話によれば、彼らの流派の源流は暗殺拳なのだそうだ。わたしはICPOの情報網を頼りに、日本の暗部を調べに調べた。わかったことは、日本は古来より権力者の意のままに動く暗殺集団がいたということ。その実態は日本のスパイであり、忍者はその代表格だった。

 

 彼らは世の中をごく普通に生きていたとしても行政上存在しないことになっている。リュウとケンの流派の始祖である轟鉄という人物について調査した結果、やはり「存在しない人物」だった。

 

 彼は生涯独身だったため、子孫がいない。彼らの流儀は孤児を引き取って育て、その技を後世に残すというものだったらしい。戦後法整備が整えられたことにより、表向きには住民票の作成が義務付けられたが、リュウとケンの師匠にあたる剛拳もまた出自が不明だった。彼もまた、轟鉄師匠の生きた道と同様に独身を貫いていた。

 

 リュウは物心つく頃から轟鉄一門に育てられたのだという。彼は幸か不幸か必然的に格闘術を叩きこまれる人生を歩まざるを得ない宿命だった。

 

 唯一の救いは、剛拳師匠が「暗殺拳は修羅の道でしかなく人道に背く行為に過ぎない」と考えたことだった。剛拳師匠は弟子に表の世界で生きる道を与え、暗殺拳を洗練した技をあみ出し、弟子にその技を伝授したのだそうだ。それが昇龍拳であり波動拳だった。

 

 わたしはシャドルーを追っていくうちに、リュウの存在が明るみになり、このようにして調査を重ね、組織としてリュウを追いかけるようになっていった。

 

 さすらいの格闘家の異名を持つ彼を追跡することはICPOもアメリカ空軍さえも困難だった。シャドルーもS.I.N.もリュウを捕まえるためにあらゆる策をとっていたようだ。網の目のような監視社会の目からすり抜けてさすらうリュウは天性の放浪者だといえるかもしれない。そんなリュウを追いかけているうちに、謎めいた彼に対していつしか個人的な関心が向くようになっていった。

 

(つづく)