リュウと春麗の萌え日記   (そま)

リュウと春麗の萌え日記

連載小説 その1

     連載短編小説

 

 

     春麗の女子会

 

~SFⅣエンディングからSFⅤゼネラルストーリーへ~

 

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 ふーっ、とパソコンの手を止めて息をつく。

 

 窓の外に目をやればすでに夜。今日も残業・・・とはいっても、これは私的な作業。わたしには誰に何と言われようともやり遂げなければならないことがある。それは闇の支配者・シャドルーの総帥ベガを捕まえること。

 

 S.I.N.についての捜査は不可解にも上層部の通達により打ち切られ、闇はわずかに浮かび上がったものの、再び深い闇の中へと葬り去られてしまった。S.I.N.が壊滅したはずのシャドルーの関連軍事企業であることをつかんだ以上、上の言われるままに捜査を打ち切れるはずもなく、わたしは極秘調査を続けていたのだった。

 

 パソコンの画面には、赤いハチマキ姿の男の画像が静止したまま映し出されている。

 

 さすらいの日本人格闘家・リュウ。表の世界では格闘家としての実績はまったくなく、出自も個人情報もつかめない人物だというのに、ベガからもセスからも狙われている。

 

 闇の支配者が欲しているのは、リュウに内在する類まれな潜在能力。その能力は負の作用を引き起こせばすさまじい破壊のエネルギーを生み出す。リュウやケンはこの負の作用を「殺意の波動」と言っていた。

 

 殺意の波動は、リュウに内在する何かがネガティブな波動と共振してしまうと肉体のホメオスタシスのリミッターが解除され、凄まじい破壊力と戦闘能力を発揮するようだ。強さを求める格闘家なら誰しも、その能力を駆使すれば最強になれると思うところを、彼は殺意の波動に呑まれまいと抵抗している。

 

(つづく)